─────そんな中で。
あははうふふと笑い合う私と知世くんは、きっと今同じことを思っているはずだ。
お兄ちゃんもそれに気づいて、私達を苦笑いしながら見つめている。
……頼ってね、だなんて。頼らせてもらうね、だなんて。
何言ってんだ。そんなこと"普段の"私達なら言ったことないし言わないでしょ。
私達を微笑ましく見つめる人達は、知らないだろう。
私達が────────猫をかぶりまくっているということを。
────────────────
「あー、めっちゃ疲れた…!!」
「お疲れ様麗、スピーチ良かったよ。お父さんも来たがってたから動画撮っといた」
「えー!?やめてよ恥ずかしいったらありゃしない!!あんな猫かぶりスピーチ!!」
あれからお母さんと合流して、車の助手席に乗って家に帰っている。
後ろの席にはお兄ちゃんと知世くん……知世が乗っていて、私は車に乗った瞬間さっきまでの表情を全て崩した。
「それにしても、我が娘ながら感心よ。よくもまあ、あんな嘘みたいな笑顔を貼り付けられるわ」
「もう慣れた。可愛すぎるのも大変なんだよ」
「はいはい、そうね」

