見せかけロマンチック




そんなクラスの女子の会話に、ハッとして自分の筆箱の中身を見る。

盗み聞きみたいになっちゃったけど、いいよね。


「あの…もしよかったら、消しゴム貸そうか?二個持ってるから」

「っ、え!?て、てて天使さ…っ、天羽さん…っ!?いいんですか!?」

「うん。困ったときはお互い様だから」

「ありがとうございます……っ!!」


パッと後ろを向いて、そう微笑むと後ろの席の子はほんのり顔を赤くして。

さっき筆箱から取り出した消しゴムを机に置くと、嬉しそうに感謝された。

よかったー消しゴム二個あって。

そう思いながらもう一度笑うと、私は前に向き直った。


「ねえ天使様優しすぎじゃない……っ!?」

「誰にでも優しくて完璧ってどういうこと…っ!?」


聞こえてますよー。

後ろからの声を押し殺したような会話を、なずと二人で聞く。


「麗普通に性格良いのに」

「…そんなことないよ」

「変なとこで自己肯定感低いよね」