そんな私の悩みを知るはずもない知世は、私を見て楽しそうに笑っていて。
その笑顔に、キュッと胸が掴まれたような感覚に陥った。
「お待たせ…って、うら?顔赤いけど」
「っぅえ!?なんでもないけど!?」
「すごい食い気味だね」
「早く行こうよ!!ほら!!お父さーん行ってきます!!」
「え、ちょ……」
忘れ物を取って戻ってきたお兄ちゃんが、私の顔を覗き込んで痛いとこを突いてきて。
自分でも不自然な反応だと感じながら、二人の背中を押して無理やり外に出た。
「どうしたのうら……まさか知世?」
「ぶふ…っ、ほんと可愛いなお前」
「うっさいバカタレ!!」
「…知世、ほどほどにね」
私の様子を見て、なぜか原因が知世だと気づいたお兄ちゃんに肩がビクッと揺れる。
耐えきれずに吹き出す知世の背中をバシッと叩くと、呆れたようなお兄ちゃんの声が聞こえた。
お兄ちゃんなんで止めてくれないのー!?

