見せかけロマンチック




結局亮先輩が委員長だったらしい。めっちゃ可哀想じゃん。

なんて会話をしていると、突然お兄ちゃんのスマホに電話がかかってきて。


「ごめん、ちょっと出るね」


と言ってお兄ちゃんはスマホを耳に当てた。

その様子をしばらく見てると、お兄ちゃんは電話を切って。


「ごめん急遽バイト出てって言われた」

「えー!急すぎない?」

「うん、人足りないんだって」


お兄ちゃん承諾したの!?優しい偉い……お金は大事だけどさあ!

お兄ちゃんはバイト行く時に使ってる鞄を手に持って。


「俺行ってくるけど知世どうする?」

「あー、しばらくいるわ。帰るのめんどい」

「わかった。ごめん麗、母さん帰ってきたら言っといて」

「はーい。気をつけてね」


知世と私にそう言って急いで家を出て行ってしまった。


「…私もバイトしたいのになあ」

「止められてるんだろ?」

「うん。危ないって」

「俺も賛成」

「まあ可愛いからしょうがないよねー…」