見せかけロマンチック




横から声をかけられて、ピタッと足を止めてしまう。


やばっ天使様って呼ばれて反応しちゃった、自覚してるって思われる!
……いや、冷静になれ私。私が天使様なのは誰もが承知だ、気にするな。

なんて心の中で早口で処理して、パッと声の主の方に顔を向けると。


……っげ。誰?
そこには三年生のネクタイの色を身につけた男の人三人がいた。


「うわっ、すっげぇ美人じゃん」

「やっぱめっちゃ可愛いね」

「えっと……?」


頑張って声のトーンを維持して困ったような反応をする。
可愛いのは当たり前なんですけど……。


「俺ら天使様と話してみたくてさ」

「彼氏いないんだろ?朝聞いたよ〜」


…ああ、そういうことか。
朝嘘でも彼氏いるとか言っときゃ良かった……。

と少し後悔しながらも、この状況をどう切り抜けるか頭の中でグルグルと考える。