見せかけロマンチック




あれから教室に入り自分の席に向かうと、裕貴くんから爽やかすぎる笑顔を貰って。

眩し…っ!なんて思いながら私も笑顔を返す。


「今日はちゃんとメガネ持ってきたよ」

「あ、本当?よかった、忘れなかったんだね」

「もう鞄に入れっぱにすることにした」


そう言ってメガネケースを見せてきた裕貴くんに、ふふっと笑う。
この人、ほんとに表裏ないんだろうな。すげえや、私と大違いすぎて。


「おい裕貴ー!!」

「ん?なにー?ごめん麗ちゃん、呼ばれた」

「うん大丈夫、気にしないで」


そう言って私に手を振ってから、声の方に向かっていく裕貴くんの後ろ姿を見つめる。

すると、私の席になずが近づいてきて。


「おっはよー麗!」

「なず。おはよう」

「ちょっとー、声かけるタイミング困ったよー?」

「え?」


声かけるタイミング…?なにそれ。
少し楽しそうに笑いながら私を見るなずに、はあ?と心の中で思う。