見せかけロマンチック




ポカンとしながらさっきの女の子が走って行った方を眺めていると、そんな声が耳に入った。

…あ、これすぐに広まるやつだ。
私を狙うチャンスだって思う人が出てきてもおかしくない。

そう思うと自然とため息が出そうになって急いで飲み込む。

だめだめ、素を隠せ私!!だるそうにしてたら一発アウト!!


「うらちゃん、なにしてるの?早く行こうよ」

「え?あ…ごめんね」


一人気合いを入れていると、私の下駄箱の所にお兄ちゃんと知世が顔を出してハッとする。

急いで二人に駆け寄ると、お兄ちゃんが私を心配そうに見てきて。


「うら、大丈夫?今何かあった?」

「あ、ううん大丈夫だよ」


まあここまで騒がれてたら何かあったのかと思うよね……。

お兄ちゃんの言葉に大丈夫だと笑いかけると安心したような顔をした。



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「おはよう麗ちゃん」

「おはよう裕貴くん」