見せかけロマンチック





「…っ、あの!!天使様は彼氏いますか…!」

「…え?私、ですか?」


次の日の朝。
下駄箱で上履きに履き替えていると、突然近くから顔を真っ赤にした女の人に話しかけられて驚く。

私達の会話が周りにも聞こえたのか一斉にバッと視線が集中して。
誰もが私の答えに期待しているようだった。


とりあえず私は困ったように笑って正直に答える。


「いえ、いませんけど……」

「えっ、そうなんですね!?お答えくださりありがとうございます!これからも推させていただきます!」

「え?」


なんか…話し方堅いね。

なんて思って女の人を見つめていると、また顔を赤くして走って去っていった。

推すって言ってたし私のファンだよね?今の…。


「なあ今の聞いたか!?天使様彼氏いねえってよ!」

「あの可愛さで!?」

「やばい友達にも広めなきゃ!!」