お兄ちゃんも知世も別の大学に進学してるし、忙しいから知世と毎日会えるわけじゃないけど。
たまーに、「大槻くん元気?」なんて聞いてくる。
裕貴くんの人柄の良さが気に入ってんだろうなって感じるわ。
三年間徹底して知世「くん」と呼び続ける私は、全く変わらずお淑やかな天使様だ。
微妙な顔をした裕貴くんに、ふふっと笑ってしまう。
そんな私の表情を見て、裕貴くんは周りに聞こえないような小さい声を出して。
「…大学でも天使様やるの?」
「え」
「ちょっと気になって」
「んー…そうかな。こっちの方がなにかと楽だし」
天使様でいた方が楽なこともある。
周りからの評価だったり、信頼だったり。
そう思って小さい声で私も返すと、そっか、と裕貴くんは笑って。
「今日もずっと天使様でいるの?」
「…え」
「だって、最後だよ?今日でもうおしまい」
「……」
「ふっ、じゃあね麗ちゃん!また会いたいな!」

