見せかけロマンチック




普段のお兄ちゃんとどう違うのかな。
そう思って聞くと、なずは思い出すようにうんうんと頷きながらそう言って。


「ドキッとしたエピソードとかは?」

「んー…あ、人混みやばかった時に手繋いでくれた」

「っ手!?」

「人に押されすぎて悠先輩と離れそうになった時、はぐれちゃうからって」


なずの言葉に、お兄ちゃんの様子を思い浮かべる。

やはりさすがお兄ちゃん。私、お兄ちゃんは絶対スパダリだと思うんだ。


「あとは、電車で人に押されないように端に寄せてくれたり、車道側歩いてくれたり」

「うんうん」

「妹扱いじゃなくて、女の子扱いしてもらえたことが嬉しかった…っ」

「そっかぁ…!」


嬉しそうに話すなずの言葉に、心の中でキュンキュンしてしまう。

お兄ちゃん、ほんとに素敵な男だ……!

確かに前は妹として見てたけど、今は違うんだよ…!
と教えてあげたくなる。