見せかけロマンチック




「ちょっとお兄ちゃん!!」

「おいはる!!」

「…な、なに……?」


あれから一ヶ月以上経って。
あと数日で夏休みが終わる頃。

家のリビングでエアコンの風を受けながら、私と知世はお兄ちゃんに詰め寄った。


「なずのこと誘わないの!?夏休み終わるよ、いいの!?」

「もっと自信持てよ!取られてもいいのかよ!」

「…っう」


そう、お兄ちゃんとなずはまだ付き合っていないのだ。
しかも夏休み二人で遊ぼうと誘ってすらいない。

お兄ちゃんがグサッというように気まずそうに目を逸らす。


「な、なに二人とも……そんなに熱くなって」

「「熱くなるだろ!」」

「…ハモったなあ」


ハモる私と知世を見て苦笑いをするお兄ちゃん。

両想いなんだから!なんてことは言えるはずもなく。
言いたい気持ちを抑えて知世と応援する。


「なずなちゃんも暇じゃないだろうし……」

「暇だよなずは!絶対暇!」

「…で、でも、急じゃない?」

「そんなこと気にすんな」