知世の方を指さして私を心配する亮先輩は、顔を歪めながらどこか涙目になっていて。
そんなに痛かったんだ……と思い知世を見ると、全く表情を崩していなかった。
お友達ってことは……たまにお兄ちゃんが話題に出す人達か。
この感じだと、亮先輩と大智先輩は知世の本当の姿を知ってるっぽいよね。
「悠と知世から妹ちゃんのこと聞いてたからさ、まじで会ってみたかったんだよね」
「特に知世、こいつ麗ちゃんのことめっちゃ……」
「早く帰ってくれる?さようなら」
「は!?おい、ちょ……!」
大智先輩が何かを言いかけると、知世が無理やり二人の背中を押して玄関の方に追いやった。
……え、なに?気になるんだけど。
めっちゃ……?バカにしてる、とか?うわ、絶対そうだろ。
先輩達はなにか叫びながら去っていって、知世がまた私の隣に並んだ。

