見せかけロマンチック




知世のこの言葉に全ての苦しみがスーッと消えていって、ポロッと大粒の涙が溢れ出した。


私の全部を愛してくれるの?私の代わりに?
私の嫌いなところも全部……知世が愛してくれるの?


その言葉が嬉しくて、涙が止まらない。

私は私を嫌いなままでもいい。自分を無理に好きにならなくてもいい。
そんな私も全部まとめて愛してくれる人がいる。

そんなの知世しかいない。やっぱり私はこの人じゃなきゃダメだ。


そんな私の涙を知世は優しく拭ってくれて。


「…お前強くねえよ。強がってるだけで繊細なんだよ。ぜんっぜん弱いね」

「…っ、慰める気ないでしょ」

「麗の前で嘘つきたくねえんだよ」


知世の相変わらずな言葉に、力が抜けてふにゃっと笑う。

私に面と向かってストレートに言いたいことを言ってくれる。嘘ではなく、本音を。

知世の気持ちが全部嬉しい。
私はその気持ちを返してあげられる。