すると、大槻くんが驚いたように私を見てきて。
「天使様って天羽さんのことだったんだ」
「え……」
「あ、てことは二年生にイケメンのお兄さんがいるのも天羽さんか」
「えっと……?」
大槻くんの発言に、ポカーンとしてしまう。
別に、いろんな人に知られたいわけじゃない。私のことを知らない人がいるのも当たり前なわけで、逆にたったの一日で全員が私を知ってたら怖いけど。
でも大槻くんは確実に、私に媚びてくるような人達とは違う。
「あ、ごめん。俺友達から聞いただけで、詳しく知らなくて」
「ううん、大丈夫。私も自分のことどう広まってるのかよく分かってないの」
「まあそうだよね。あ!そうだ、麗ちゃんって呼んでいい?お兄さんと名字被ってるし、隣の席だから仲良くなりたいなって」
「いいよ。好きな風に呼んでほしいな」
「俺のことも名前でいいから!あ、俺の名前わかる?」
「うん、裕貴くんだよね?」
私の目を真っ直ぐ見てそう話しかけてくれる裕貴くんに私も笑顔を浮かべる。
あー……裕貴くん、無自覚に距離感バグなタイプだ……!ちょっと知世に似てる……!

