見せかけロマンチック




「制服乾くかしら」

「ごめんお母さん」

「もー、今度から気をつけてね?」


お風呂を出ると、制服を干しているお母さんがいて。
なにがあったのかは聞かないでいてくれるお母さんに、ジーンとしてしまう。

リビングに行くと、お兄ちゃんがソファに座っているのが見えて。


「…!うら、大丈夫?あーあー、目が腫れてる。冷やすもの持ってくる」

「…ありがとう」


私の顔を心配するように覗き込んでから、保冷剤を布に包んで持ってきてくれて。

私は笑って受け取った。


「…どうしたの」

「……」

「なにかあった?知世と」

「……っ、あのね」


少し間を開けて、そう聞いてきて。
お兄ちゃんの真剣な目に、私はさっきの出来事を全部話した。

私の話を最後まで聞いて、お兄ちゃんはどんどん顔が曇っていく。


「…そっか」

「……」


悲しそうに頷きながら小さい声で言うお兄ちゃんに、言葉が詰まってしまう。