見せかけロマンチック




「ちゃんと向き合うわ、私。お父さんを説得する」

「……はい」

「巻き込んでごめんなさい。だけど、知世はきっとあなたを求めてる」

「…!」

「知世のこと、お願いしてもいいかしら」


お母さんの言葉に、目を見開くと。

ガチャっとドアが開く音がして、知世が部屋から出てきたのがわかった。

それに気づいて急いでスクバを手に取って。


「失礼します……!」


そう言ってお母さんに頭を下げる。
すぐに、リビングのドアを開けると、知世がどこか空虚な瞳で私を見て。


「知世…!行くよ…!」

「っ、は?」


ガシッと知世の手を掴んで、玄関まで引っ張った。
それに驚きながらも知世は着いてきて。

家を飛び出して、私は手を引きながら雨の中走り出した。