見せかけロマンチック




お母さんのその発言に、お茶を飲もうとした手を止める。

……外では出さないようにって……猫をかぶれってことだよね?
もしかして、知世が猫かぶってた理由って……お父さんの言いつけ?

今まで教えようとしてくれなかったのは、お父さんとの関係が良くないからで……。


そう考えた瞬間、絶対そうだと確信してしまう。
こんな形で猫かぶりの理由を知るとは思わなかった。


「知世に傷つけられてない?さっきも言ったようにあの子相当口悪いから……」

「あ、いえ、私も似たようなものなので……」

「え?」

「なんでもないです」


なに口滑らせてんだ私。取り繕えよ。いつもみたいに猫かぶれ。

焦って話を逸らすと「そう?」と不思議そうに私を見て。
そんな時。


「〜〜…っ!!」


リビングの外から、なにか揉めているような声が聞こえて思わず席を立った。

…この声は、お父さんの声……?

知世、知世は……っ。
怒鳴っていたように聞こえた声に、思わずリビングのドアの方に駆け寄る。