見せかけロマンチック




声を上げて泣く私を、もっと強く抱き締めて。


私の努力を認めてくれた。認めて理解してくれた。


自分をもっと愛してみたいよ、私。

だって、自分のことが好きな時って超楽しい。
顔だけじゃなくて性格も全部愛せてみたらいいのにって、何度も思った。
自分で自分を認められたらいいなって。


まだ性格を認めることが出来なくても、せめてこの努力だけは認めてあげたい。


「…っ、知世、知世……っ」

「うん。いるよここに」


知世の背中に腕を回して、ギュッとしがみつくと。
私をあやす様に背中をポンポンと叩いてくれて。


…好き、好きだよ。
私のために怒ってくれてありがとう。私のそばにいてくれてありがとう。

どうしようもなく弱る私を、受け入れてくれてありがとう。


それから数分私が泣き止むまでこの体勢のままでいて。


「…っ、も、大丈夫」

「…いっぱい泣いたらスッキリしただろ」

「…っ、うん、スッキリした!」


知世から離れてそう言うと、知世は優しく笑って。
それに私はニッと歯を出して全力で笑った。