……初めてじゃない。初めてじゃないのに。
……怖い。だって……。
そう思いながら、顔に出ないように無理やり気合を入れる。
違う話の可能性もあるから…！大丈夫だよ麗……！
よし！と勢いよく息を吐いて、空き教室のドアを開けた。
「お待たせ裕貴くん」
「ごめんねこんなとこまで。来てくれてありがとう」
「全然大丈夫」
既に来ていた裕貴くんは、私の顔を見て笑って。
その表情に、複雑な気持ちが生まれてしまう。
「人来ないから素でいいよ」
「うん、じゃあ遠慮なく」
「むしろ素がいいな」
「…ほんと、変わってるよ」
裕貴くんは私のこと、一度も引かないんだね。
そう思って笑うと裕貴くんは目を丸くして。
「そりゃ、好きな子には素でいてほしいじゃん？」
「……え」
「ふっ、もう気づいてたでしょ？今日改めて言おうと思って」
