見せかけロマンチック





「熱あるよお前。俺のが移ったのかも」

「え…?嘘、私全然平気だよ」

「気づいてなかっただけだろ」

「いや……あれ、頭痛い……かも」


確かに、朝から視界がグラッてしたり食欲なかったり。

段々身体が自覚してきたのか、頭が痛いことに気づいた。
私今日一日ずっと体調悪かったの……!?


「…熱のせいとはいえ、俺以外にあんなことするなよ」

「っ、いや、それは、」

「他の男には絶対だめだ」


ち、違う……!熱のせいじゃないのに……!!
過去一分かりやすくアタック……というか、攻めたのに。
熱という都合のいい存在によって片付けられてしまう。

なんで鈍感なんだよ……!


「帰るぞ、歩けるか?」

「う、うん…」

「お姫様抱っこしようか?」

「そ、れはいい……!」


知世に支えられて立ち上がるけど、また視界がグラッとする。
さすがに抱っこは無理……!!

そのまま知世は私のことを支えて保健室に連れて行ってくれて。

私の勇気あるアタックは、全てが無駄になった。