見せかけロマンチック




私は知世のネクタイをグイッと引っ張って、そのままドサッと後ろに倒れた。


「っうお!」

「…っ、悪いこと、教えてよ」

「…っは?」


私の上に覆い被さる知世を見上げてそう言うと、知世は分かりやすく狼狽えて。


「私だって、やればできるんだか……っら!?」


今まで見たことないような知世の反応に、やってやったぜという気持ちになって。
知世の目を見て挑発すると。

突然知世の顔が近づいてきて、コツンとおでことおでこがぶつかった。

……っ、な、なに……!?


「……あっつ」

「は…?」

「熱のせいかよ、ドアホ」

「え、は……?熱……?」


知世はおでこを離して顔を歪めた。

熱……?どういうこと……?
何を言ってるのかわからない、という私の反応を見て、ゆっくり私のことを起き上がらせてくれる。