見せかけロマンチック




突然話の流れと空気が変わる。

知世の、獲物を捕らえるような目にドキッとして動けなくなってしまう。


距離を縮められて、座る私に跨るように床に手をついた。


「…っ、近い」

「…この体勢、俺が麗に迫ってるみたいだな」

「…っな!」

「麗も顔真っ赤にして、見られたら誤解されるぞ」


意地悪そうに笑いながら私の目を見据える知世に、身体中が熱く火照っていく。

な、なんでこうなった……っ!?
と軽くパニックになり熱くてクラクラする。


「悪いことしてるみたいで、ドキドキするね?うーらーちゃん?」

「……っ!!」


その一言が、私にトドメを刺した。
苦しいぐらい熱くてドキドキして。それと同時にムカッとして。

……っ、私だって……っ!


アタックしたかったのか、意地を張ったのかはよくわからない。
クラクラしすぎて頭が働かなかったのかもしれない。