知世、それなずだけじゃなくて私にとっても好都合なんだよ……!
と空気を読んだ知世にそう心の中で思う。
そのまま私達は屋上の近くにある空き教室に入った。
「…なずとお兄ちゃん、どう思う?」
「俺はいいと思った」
「っやっぱり……!?」
空き教室の隅っこで、体育座りをしてコソコソ話をする。
別に人がいるわけでもないのにコソコソと。
知世の頷きながらニヤニヤして言った言葉に、ぱあっと嬉しくなる。
知世から見てもいい感じに見えたんだね……!?
「はるの恋愛話とか聞いたことねえもん」
「そうなの?私もない」
「相当シスコンだからなあいつ」
「あーなるほど……」
じゃあ、もしかしたらなずが初になる可能性もあると。
でもあの感じ、なずに気許してるよね。んふふ。
「麗も自分の恋愛に目向けたら」
「…言われなくても向けてるよ」
「…は?それ、どういう……」
「知世には言わない」

