見せかけロマンチック




知世の目の前に行こうとした時。

突然、一瞬視界がグラッとして身体が傾いた。

…っ、え、まってなんで!?倒れる……っ!?


バランスを保てなくてギュッと強く目を瞑る。


「…っぶね」

「…っ、あ、ありがとう」


すると、知世が咄嗟に私に手を伸ばしてくれて、グイッと引き寄せられた。

焦ってバクバクとなっていた心臓が、距離の近さでドキドキに変わって。


な、なんで視界がグラッとしたんだ……?朝に突然走ったから?


「どうしたお前。いつも駆け寄って来ねえのに」

「…っえ、いや、風邪大丈夫かなーって」

「ああ。おかげさまでもう全然平気」

「そう?よかった」


知世に会いたかったから、なんてこと言えるはずもなく。

風邪心配してたのも間違ってないし……!

すると、知世は元気そうに笑って、私も笑い返した。