見せかけロマンチック




はぁー……と全てに納得がいってスッキリする。


こうなったら、私だってアタックしてやるんだから。覚悟してなさいよ見せかけ王子!

そう思って知世のおでこにバン!と撃つような仕草をする。


……寝ちゃったし……そんな時間経ってないけど、そろそろ帰ろうかな。

よし、と思って立ち上がって知世から離れようとすると。


「…っえ」

「…行く、な」


服の袖を弱い力で握られて知世に振り返る。

すると、そこには弱々しい知世が私に縋っていた。
今までに見たことのない知世。

苦しそうに、寂しそうに、手に力を入れる知世から離れられなくてまたしゃがみこむ。


「起こした?」

「……っ、あ、ごめん、引き止めて」

「いいよ別に。急いでないし」


自分の行動にハッとしたのか、焦ったように謝る知世。

……あんた、本当は寂しいんじゃないの。
でも、全部抑えてきたんでしょ。今までこうやって取り繕って、寂しいとか苦しいを見ないようにしてきたのね。