見せかけロマンチック




それから知世は残さず完食してくれて、私は食器を洗ってまた知世の元に戻る。

……寝てる。なんだよ、寝れんじゃん。

お腹いっぱいで満腹になったのか、気持ちよさそうに目を瞑る知世を見てしゃがんで覗き込む。


……綺麗な顔。
改めて整った顔を見てそう思う。


……あのね、知世。私わかったよ。

知世といるこの時間が、私大好きなの。
楽しくて、居心地良くて、気楽で……それでいてドキドキして。
知世にしかこんな感情にならないの。


知世の顔にかかっている髪の毛をサラッと避けてじっと見つめる。


……私、知世のことが好きなんだ。

私はずっと知世をお兄ちゃんみたいな存在だと思ってた。でもそれは、そう思い込んでただけ。
そう思い込んでたからこの気持ちに気づけなくて……。


きっとずっと前から知世に、恋してたんだね私。

出会った頃から、昔からの友達かのようにすぐ仲良くなれて……。よく考えれば私の本能は知世のことが特別だった。