見せかけロマンチック




ハァー、と苦しそうにため息をつく知世に顔がどんどん熱くなっていく。


「動くなら動くって言って!そうすれば大丈夫だから!」

「……お前意外と敏感だよな」

「うっさい!離れろ!…っ、ひゃっ」

「…っふはっ、かーわいい」

「〜〜っ」


私が怒ったような声を出すと、知世は容赦なく首の後ろツーっとなぞってきて。
ゾクッとして知世の服をキュッと掴む。

っ、な、からかってくんなよ……っ!!

パッと顔を上げた知世の表情は楽しそうに口角を上げていて。

あまりの恥ずかしさに、目が潤んで弱々しい声が出てしまう。


「も、やめてよ、バカ……っ」

「……っあー。ごめんごめんついからかいたくなっちゃって」

「いい趣味してんなお前…!」


私を見て一瞬なにかを我慢するように顔を歪めた知世は、私を宥めるように頭をポンポンと撫でてきた。

それに反論しながらも、ぶわっと全身が熱くなって。


わ、私、なんでこんなドキドキしてんのー…っ!?