感じたこともない、全く知らない、そんな感情が芽生えて自分がわけわからなくなる。
いつか私の目線も…心も、なにもかもが知世にかっさらわれてしまいそう。
「知世先輩すごいね」
「…うん」
「…麗?」
「……」
なずの声が遠く聞こえる。
ボーッと、ただひたすらに知世を見続けてなにも聞こえなかった。
……なんなんだろう。
お兄ちゃんとも、なずとも、裕貴くんともまた違うこの気持ちは、なんて言うんだろう。
……ほんと、ふざけんな。
こんな気持ちにさせやがって。気持ちの行き場がない。どうすればいいんだよ。
盛り上がる歓声で溢れる中、私の心はギュッと強く掴まれていた。
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それから点を取って取られての繰り返しで試合が終わった。
「麗ちゃん…!」
「お疲れ様、裕貴くん」
「負けちゃった……波澄先輩強すぎた」
「でも惜しかったよ!かっこよかった」

