見せかけロマンチック




英語の授業が始まる一分前。

私はスクバの中、引き出しの中、ロッカーの中を全部探して頭を抱える。

……英語の教科書、家に忘れてきた……!


土日に教科書使って勉強してたからだ……あーなにやってんの私!


土曜日は知世とお兄ちゃんと、日曜日は自分の部屋でテスト勉強をして……ああ、机の上に置きっぱにしたのを覚えてる……。

昨日の自分と朝の自分を恨みたくなりながら軽くため息をつくと、チャイムが鳴った。


「…裕貴くん」

「え?どうかした?」


申し訳なさ全開で隣の席の裕貴くんに話しかけると、裕貴くんはメガネをかけながら私を見て首を傾げて。


「教科書見せてもらえないかな…?」

「うんいいよ。机くっつけるね」

「ありがとう…!」


嫌な顔ひとつせず笑って机を移動させる裕貴くんに、私も自分の机を寄せる。

ほんとに助かった……!ありがとう……!


「忘れたの?珍しいね」

「うん、家で勉強しててそのまま置いてきちゃって……言い訳になっちゃうんだけど…」