見せかけロマンチック




ポカーンとする私に、時計を見て笑う知世。

十時からうちに来て勉強?
そうか、もうテスト一週間前なのか……。

テーブルの上でお兄ちゃんと知世が教科書を広げていて。
すご……と思いながらボーっとすると、今の自分の格好と状況を思い出した。

急いで手を顔に持っていって頬を包む。


「…はっ!私寝起き……っ!!」

「寝起きでも可愛いよ」

「は?そんなの当たり前でしょ」

「…女子ってイケメンに可愛いって言われたら照れるもんじゃねえの?」


もしかしたら浮腫んでるかも……!!
なんて思いながらそう言うと、知世が可愛いと言ってきて。

それに、スンと真顔でいつものように言い返す。
すると、知世は引いたような目で私を見てきた。


「…知世は朝からかっこいいね」

「は?それこそ当たり前だろ」

「こんな可愛い子に褒められてんのに照れ一つねえじゃねえか」


人のこと言えないだろ。
という一連の流れに、お兄ちゃんは楽しそうに笑っていて。