見せかけロマンチック





「あんた私と同じでしょ」って思わず声をかけた時の、あの驚いたような顔。
その後すぐに見せかけの笑顔は消え、知世は素でお腹が痛くなるぐらい笑い出して、私もお兄ちゃんも困惑していた。


「はぁー。やっぱお兄ちゃんと知世も有名なんだね」

「はは……知世は学校で王子様って呼ばれてるよ」

「うげっ、王子様!?えー信じらんない!」

「ひでぇ反応だなおい」


ぐーっと手を伸ばして呟いた私に、苦笑いしながら衝撃的な事実をお兄ちゃんが言って。

思わず伸ばしていた手を勢いよく下ろして、バッと後ろを振り向く。

どんなキャラ演じてんのこの男……!?


「リモートで見てたけど、麗が映って二年もザワついてたぞ。お前にも衝撃的な呼び名ついてたけど、教えてやろうか」

「え!?なにそれ気になる」

「天使様、だってよ」

「ぶ…っ!!」


学校でうらちゃんと呼ぶのとは違い、私を麗と呼び捨てで呼んだ知世は面白そうに笑ってそう言った。

天使様ぁ!?
その名に思わず吹き出しそうになる。