…ああ、嫌な空気。
別に気にしない。こんなの一々気にしてたらキリないし、気にする価値もない。
侮辱されてることに気づきながらも、表情に出ないように深呼吸をする。
……大丈夫、大丈夫……。
「…麗、聞かなくていいから」
知世の、王子様とは思えない低い声に、乾いた笑みを漏らして頷く。
うん大丈夫だよ。聞く価値ないよね。
…それに、呼び捨てになってるよ。ここ学校なんだから気をつけなきゃ。
「大丈夫。もうかえ…」
「…うら、知世。先帰ってて」
「…え、お兄ちゃ……ん」
もう帰ろう。そう言おうとした時。
いつもとは違う、怒りを含んだような低い声が聞こえてお兄ちゃんを見る。
……っ、え、お兄ちゃん……?
今まで見たことないぐらい怖い顔をしたお兄ちゃんに思わずビクッとしてしまう。
冷たすぎる目で男女グループを見つめていて話しかける勇気が出ない。
驚いて知世を見ると、やべっと言うように焦ったような顔をしていた。

