妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~


 えっ……。

 私たちの契約がこれで終わり……!?

 私たち……お別れってこと?

「で、でも、まだ先輩を狙う敵の正体も分かってないのに――」

「それならもういいよ。近くの神社にでもお祓いに行くから」

「でも――」

「もういいって言ってるだろ」

 今まで聞いたことのないような強い声を出す凪季。

 私はその場で固まってしまった。

 凪季、どうしてそんなこと言うの……?

 でも――悲しいけど、凪季がそう言うのなら私は受け入れるしかない。

 だって最初から私は雇われた身。

 そういう契約なんだもん。

 別れたくないだなんてわがまま言って、凪季に迷惑かけるわけにはいかない。

「……分かりました。ありがとうございました、先輩」

 私は涙をぐっとこらえ、笑顔を作ると頭を下げた。

 こらえた――つもりだった。

 でも、凪季とはもうこれで終わりなんだって思うと、胸が痛くてたまらない。

 ズキン、ズキン。

 私は慌てて先輩から顔をそらすと、家に向かって駆けだした。

「さようならっ……!」