妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

 えっ!?

 私がポカンとしていると、道路の横を車が走り、水たまりの泥をはね上げた。

 竜くんは私をかばったせいでずぶぬれになってる。

「だ、大丈夫!?」

「うん、大丈夫」

 涼しい顔で口角を上げる竜くん。

「でも、濡れちゃってるよ」

 私はハンカチで竜くんの肩をふいてあげた。

「いや、朱里ちゃんが濡れるほうが嫌だからさ。家に帰ったら着替えればいいだけだし?」

 あっけらかんとした顔で言う竜くん。

「ありがとう……」

 私は下を向いた。

 竜くんはこんなに優しいのに、変に警戒して悪かったかな。

「それじゃ、帰ろっか」

 私が言うと、竜くんは猫みたいに目を細めて笑った。

「うん!」