私がホッとしていると、一時間目のチャイムが鳴った。

 ガンと音を立て、勢いよく竜くんが机をくっつけてくる。

「一時間目国語だよね。教科書見せて! 俺、転校してきたばっかりで何もないからさ」

「う、うん」

 私は国語の教科書を取り出して、二人の机の間に置いた。

 授業が始まる。

 私が一生けん目にノートを取っていると、急に竜くんが私の髪をなでた。

 ……さらり。

「きゃ!?」

 びっくりする私を見て、竜くんは目を細めて笑う。

「あ、ごめん。朱里ちゃん、髪きれいだね。それにすごくいい匂いがする」

「そ、そう……?」

 私はドギマギしながら答えた。

 はー、びっくりした。

 竜くん、初対面なのに、何だか距離がすっごく近いんだもん。

 お昼休みになり、竜くんが私のお弁当を指さす。

「その包み、お弁当? もしかして朱里ちゃん、自分でお弁当作ってるの?」

「あ……うん。 昨日の残り物がほとんどだけど」

「えー、それでもすごいよ。俺なんか買ったパンだもん。この学校、給食ないの不便だよなー」

「でも、学食とかオシャレで美味しいよ。りゅうくんはもう行ってみた?」

 私と竜くんがそんな話をしていると、心菜ちゃんが私の肩を叩く。

「朱里、そろそろ生徒会室に行かなくても良いの?」