妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~


「あ、あの、ご注文が決まりましたら――」

 と、私が言ったところで、親衛隊のうちの一人がバンとテーブルを叩いた。

「あなた……自分が蒼木様に釣り合うと本当に思っているの?」

 ひえっ……!

 冷汗がどっと噴き出る。

「お……思ってませんけど……」

「だったら早く別れなさい! このままだと蒼木様の格まで落ちてしまうわ」

「そ、それはできません」

 だって、ニセ彼女になるのは蒼木先輩との契約なんだもん。

 勝手に破棄なんてできないよ。

「まあ、ずうずうしい! 貧乏人のくせに」

 そりゃ、貧乏だっていうのは否定できない……。

「そうよそうよ。こんな汚い店の娘、蒼木様に釣り合わないわ!」
「早く別れて!」

 わめきたてる親衛隊の三人。

 どうしよう。このままだとお店にも迷惑がかかっちゃうよっ……。

 私がオロオロしていると、急に背後から低い声が降ってきた。

「――そこまでだ」

 えっ、この声……!

 振り返ると、そこにいたのは蒼木先輩と涼間先輩だった。