私がびっくりして涼間先輩の顔を見ると、涼間先輩はクスリと笑って説明してくれた。
「まあ、凪季は全然SNS更新しないからね。凪季の情報が欲しい人もみんな僕をフォローするから僕が人気なように見えるだけさ。朱里ちゃんもフォローしていいからね」
「あ、はいっ。あとでします」
確かに涼間先輩、マメそうだもんなあ……。
私が慌ててスマホを取り出そうとすると、蒼木先輩は少しイライラしたようにその手を止めた。
「朱里、こいつのSNSはフォローしなくていい」
「えっ、でも――」
「朱里は目の前の俺だけ見ていればいいから」
真剣な蒼木先輩の瞳。
「は、はい」
私があっけにとられながら返事をすると、涼間先輩がプッと吹き出した。
「えー? 何それ、嫉妬? 凪季ってば独占欲強すぎー」
「……そんなんじゃない。お前のSNSがくだらなすぎるってだけだ」
蒼木先輩は顔を真っ赤にして横を向いた。
「はいはい」
涼間先輩はやれやれと首をすくめる。
私は蒼木先輩の顔をチラリと見た。
嫉妬? 独占欲?
そんなのあるわけない。
だって私たちは偽のカップル。
恋愛感情なんて、ないんだから。
ない……はずだよね?


