「ごめんなさい、二人とも。うちの両親……ちょっと変ですよね?」
私が小声で言うと、蒼木先輩は真顔で首を横に振った。
「いや? 暖かくて、両親の仲も仲良くて、俺は良い家族だと思うけど」
「そ、そうですか?」
「ああ。うちは親父もおふくろも仕事で忙しくてちっとも家にいないし……少し羨ましい」
そう言って、先輩はほんの少しだけうつむいて笑った。
そっか、大企業の社長の息子なのも、きっと色々大変なんだろうな。
先輩の言葉に、私はなんだか胸が張り裂けそうな気分になった。
蒼木先輩は完璧で手の届かない存在だと思ってた。
でも私が思っているよりもずっと普通の中学生なの……かも?


