家から少し走ると、私が通う蒼木学園中等部が見えてくる。
白い外壁に、金色の装飾。屋根は青。
まるでお城みたいなこの学校――蒼木学園は、私立の中高一貫校。
世間では派手な制服や高級そうな建物のおかげでお金持ちの学校みたいに思われてる。
だけど、実は私みたいに家が近いというだけの理由で通っている庶民もいるんだ。
もちろん入試があるから成績はある程度良くなきゃいけないけどね。
キーンコーンカーンコーン。
学校のチャイムが鳴るのと同時に、私は教室にすべりこんだ。
「セーフ」
私がホッとしながら鞄の中身を出していると、長いサラサラの黒髪をポニーテールにした可愛い女子がやって来た。
親友の神崎心菜ちゃんだ。
顔も大人っぽくて美人だし、背も高くてスタイルも良いし、その上しっかり者で学級委員長。
何で私なんかと友達なのか分からないくらいいい子なんだ。
「珍しいね、こんなにギリギリに来るなんて」
心菜ちゃんの言葉に、私はギクリとする。
いつも私は、遅くも早くもない丁度いい時間に登校しているからそう思うのかも。
「ちょっと寝坊しちゃって」
「そうだったんだ」
「う、うん。昨日の夜ゲームやりすぎちゃって」
私は口からでまかせのウソをついた。


