妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

「仁科朱里はいるか」

 俺は二年七組の教室に入り、仁科朱里を探した。

「あ、あの、仁科朱里は私ですが……」

 鈴の音のように可愛い声がする。

 きゅんっ。

 胸が鳴った。

 振り返ると、手を挙げる一人の女の子。

 いた。

 俺の探していた彼女だ。

「やっと見つけた……」

 俺は一目散に彼女に向かって行くと、思い切って告白をした。

「仁科朱里――あんた、俺のものになって」

 だが彼女はキョトンとしている。

「は……はい?」

 上目づかいに俺を見上げ、首をかしげる彼女。

 なんて可愛んだ。

 まるで小動物みたいで……抱きしめたくなる。

 でもおかしい。

 俺が必死の告白をしているのに、反応が薄い。

 なんならちょっと嫌そうじゃないか?

 いや、まさかそんな……。

 俺が混乱していると、タイミングよく涼間がやってきた。

 涼間の提案で、彼女を生徒会室に連れ出すことにする。

 そっか。みんなの前だと恥ずかしいのかもしれない。

 俺は改めて生徒会室で告白をすることにした。