妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

 俺は頭を抱えながら椅子に座りこんだ。

 俺の探している「あの子」はどこにいるんだ……。

「他に何か手がかりはないの?」

 涼間が頭の上で手を組む。

 手がかり……か。

 俺はゆっくりと昨日の出来事を思い出す。

「そういえば……『お店の手伝いがある』と言っていたから家で何か商売をやっているのかも。あとは、歩いて帰っていたから学校からは徒歩圏内で、俺の家と同じ方角だと思う」

 俺の言葉を聞き、涼間がぱあっと顔を輝かせる。

「なるほどね。その情報なら何人かに絞りこめそうだ」

 涼間はパソコンに何か打ちこむと画面を表示した。

「ほら、これはうちの学校の生徒の家がやってるお店のリストだよ」

 涼間が画面をクリックすると、次に地図が表示された。

「そしてこれが学校から一キロ圏内の地図」

「なるほど」

 地図の上に何件か表示された店の情報を見て、涼間が指をさす。

「そういえば、凪季が襲われた場所近くに、二年の女子のおうちがやってるお店があるね」

 涼間が指さしたのは「仁科いなり店」というお店だった。

 家のすぐ裏手には「水無月稲荷神社」という神社もある。

 神社……。

 思い出されるのは、俺の探している「あの子」が使った妙な技だった。

 そういえば、あの子は神社のお札のようなものをあの黒い手に張り付けていた。

 ひょっとして……。

「その女子の顔は見れないのか?」

 俺の問いに、涼間は地図の上の文字をクリックした。

「もちろん、見れるよ。女子の名前は仁科朱里。二年生でボブだよ」

 画面には、見覚えのある女子が写っている。

「……この子だ。仁科朱里」

 俺の運命の女! ついに見つけた!