妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

 うーん……。

 私は腕を組んで考えた。

 確かにお店は苦しいし、助けてもらえれば助かるけど……。

 でも偽物とはいえ蒼木先輩の彼女になるだなんて、注目を浴びちゃう。

 いつも通り普通ではいられなくなる。

 そうなるのは困るっ……。

 でも、下手に断って私の能力のことをバラされても困るし……。

「か、考えさせてください」

 私は小さな声で絞り出すようにして答えた。

 いったいどうしたらいいの?

 先輩の彼女になれば注目されちゃうし、かといって断るのも後が怖い。

 私が困っているのを見て、蒼木先輩が私の肩に手を置く。

「分かった。返事はすぐじゃなくていい。いつでもいいから」

 優しい口調に少しホッとする。

「はい」

 蒼木先輩、顔の表情が変わらないから怖く見えるけど、本当はそうでもないのかな?

 私がじっと蒼木先輩の顔を見ていると、先輩はぷいと視線をそらした。

「話はこれで終わりだ」

「そ、そうですか」

「じゃあ、教室まで送っていく」

 そう言って、蒼木先輩は無理やり私の横を陣取った。

「えっ、でも三年生は別棟じゃ……」

 私が言うと、蒼木先輩は低い声で答えた。

「良いんだよ。俺が送っていきたいんだから」

「はあ」