妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

「あっ……あお……あお……あおあお」

 私は震える手で蒼木先輩を指さした。

 あわわわ……っ。

 どうしよう。

 一番関わりたくない人を助けちゃったよ!

 後ずさりする私をよそに、蒼木先輩はキラキラとした笑顔で話しかけてくる。

「助けてくれてありがと。制服からして同じ学校だよね。ネクタイが青だから二年生? さっきの力は何? もしよければ名前を――」

「い、いえっ、名乗るほどのものではありませんっ」

 私は蒼木先輩の言葉をピシャリとさえぎった。

「でもせっかくだしお礼でも……」

「いえ! 困った人を助けるのは当然のことなので、お礼はいりません」

「いや、でも――」

「私はお店の手伝いがあるのでこれで失礼しますっ……!」

「えっ、ちょっと」

 私は蒼木先輩を引き留めるのも聞かず、大急ぎでそこから走り去った。

 どうしよう……っ!

 一番関わりたくない人を助けちゃったよ……!

 しかも……。

 『さっきの力は何』って……。

 妖狐の力までしっかり見られてた!

 どうしよう。

 どうしよう……!