妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

「そろそろ帰ろうか」
「うん」

 私と凪季は手をつなぎながら神社の階段を下りる。

「朱里ちゃーん!」

 すると目の前に笑顔で手を振る男の子。

 見覚えのある金髪にピアス姿。竜くんだ。

「……お前、どうしてここに?」

 キッと竜くんを睨みつける凪季。

 竜くんはひらひらと手を振った。

「嫌だなあ、そんな警戒しないでよ、今の俺にはもう何の力もないし、蛇の声も聞こえなくなっちゃったから、もう蒼木先輩を狙う理由もない」

「そ、そうなんだ」

 私がホッとしていると、竜くんは軽やかな足取りで私の横に駆けてきた。

 そして私の先輩とつないでいないほうの手をぎゅっと握ると、猫のように大きな目を輝かせてこう言った。

「でも、『俺が朱里ちゃんのこと狙っていい?』って言ったの、あれは本心だから』

 上目遣いに私を見つめてくる竜くん。

「え……と――!?」

 私が戸惑っていると、凪季は竜くんの握った手を慌てて振り払った。

「お前……いいかげんにしろよ」

 怖い顔で竜くんを睨む凪季。

 竜くんはケラケラと可笑しそうに笑った。

「……なーんてねっ」

 良かった。やっぱり冗談……だよね。
 
 スタスタと軽やかに石段を下りていく竜くん。

 凪季は大きなため息をつくと、私の耳元で低く囁いた。

「朱里、あいつにはあまり近づくなよ」

「う、うん」

 とは言ったものの、竜くんとは隣の席どうし。

 全然関わらないっていうのは難しいよ……。

 そう思って竜くんを見ると、目を三日月みたいに細くして笑ってる。

 もう……。

 私の学校生活、まだまだ普通では終われなそうです……。

 
【完】