「朱里?」
凪季に声をかけられ、私はハッと気を取り戻す。
今のは――。
ひょっとして、この神社に封印された妖狐の記憶!?
私がびっくりしていると、凪季が私の顔をのぞきこんでくる。
「長かったな。いったい何を祈ったんだ?」
「な、ナイショ、です」
私は笑ってごまかした。
「凪季こそ、いったい何を祈ったんですか?」
私が尋ねると、凪季は少し目を細めて笑った。
「朱里とずっと一緒に入れますようにって」
ぎゅ、と私の手を握る凪季。
その声に、優しげな瞳に、胸がしめつけられるほど苦しくなる。
ああ、私、凪季が好き。
私は心からそう思った。
今度こそ――この人と幸せになりたい。
「……私もです」
私は小さな声で答えた。
もう離れない。
永遠に――。
西の空が、ゆっくりと夕焼けに染まる。
真っ赤に色づいたもみじの葉が一枚、風に吹かれて飛んでいった。
まるで蝶みたいにひらひら揺れる赤いもみじ。
私は胸がきゅうんと締め付けられた。
ずっといっしょにいようね、凪季――。


