妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

「今日はありがとう」

 夕日が傾きかけ、肌寒い秋の風が吹いて来る。

 私が家まで送ってくれた凪季にお礼を言うと、凪季は照れたように横を向いた。

「いや、別に礼なんていらない。朱里は俺の彼女なんだしさ」

「そうだけどさ」

 凪季は裏の神社を指さした。

「それより、せっかくだからあの神社にお参りしていってもいい?」

「はい、もちろん。……あ、そうだ。お店からお供え用においなりさん、貰ってこようっと」

 お父さんにお願いして、おいなりさんを作ってもらう。

 私と凪季はお父さんに包んでもらったおいなりさんを持って、水無月稲荷神社へと向かった。

 妖狐が封印されたという石の前にいなりずしを供え、二人で手を合わせる。

 ……凪季とずっと一緒にいられますように。

 私は頭の中で唱えた。

 すると頭の中に、古ぼけた映画みたいなセピア色の映像が流れ込んできた。

 そこにいたのはまだ若い陰陽師の少年と妖狐の血を引く少女。

 二人は幼馴染で、愛し合っていた。

 だけれど二人はある日引き裂かれる。

 町の有力者の息子が少女を気に入り、嫁にと申し出たのだ。

 少年は嫁に行くこととなった少女に蝶の着物を送る。

 「この着物が君を守ってくれる」そう言って――。

 だが少女は妖狐との間に生まれた子で、その力は日に日に強くなり、ある時彼女はその力に飲まれそうになる。

 そして彼女は陰陽師となった幼馴染の少年に依頼する。

 自分をこの地に封印してくれと――。