廊下を歩いていると、背の高い女の人に呼び止められた。
ここの学校の生徒だ!
「そこのあなた」
凛と響く声に、思わず、
「はい…?」
マヌケな声を出してしまった。
その女の人はいきなり、
「太陽くんの部屋でのんきに過ごすなんて何様よ⁉︎ 彼女じゃないよね?関係者じゃないなら関わらないで!」
とすごい剣幕で私を怒鳴りつけた。
「ええっと…」
「あ、いたいた。俺の彼女が」
突然聞こえた声に振り返ると、
「た、太陽…」
なんとそこには、太陽がいたのだ!
「太陽…?」
女の人は私が呼び捨てにしたことにものすごく怒っているみたい。
「あぁ、結美(ゆみ)。俺の彼女になんか用?」
「か、彼女なの…⁉︎ そんなっ__」
「本当だよ。俺が世界で1番大切な人は、この子、月。俺、月のこと、大好きなんだ」
とどめをさすような一言に、結美と呼ばれた女の人は涙を流して走って行った。
結美さんにバレないようにウソをついただけなのに。
…こんなに胸が高鳴るのは、どうしてだろう。
「大丈夫だった?」
「うん、ありがとう。太陽、とっさにウソつくのうまいね」
「あはは…でもね」
太陽は私を壁に追いつめる。
「ウソじゃないから」
ドキンッ‼︎
ひときわ大きく心臓が鼓動をうった。
「ちょっ、ちょっと〜!からかわないでよ」
「からかってない。本気なんだ」
太陽の顔が近い。