視界の端で、結美さんが走って行くのが見えた。
ここまでしなくてもいいじゃん…。
逃げよう。今すぐ逃げなきゃいけないことはわかっているのに、恐怖心で足が動かない。
「月ちゃん。俺の命令を聞けなかったら俺の手下たちが動くからね」
見下すように見つめられると、大地さんは校門に視線を向けた。
そこには、打ち解けた様子で大地さんの手下と話す流星がいた。
「大地!どうした…?え、なんで月ちゃんがいるんだよ?」
「何も言うなよ」
私は大地さんの言うことに従うしかなかった。
「流星!お前には今から、土下座してもらう!それだけでいいんだ。元お前の手下たちの前で、恥をかいてもらう!」
「…何を言ってるんだ……?」
流星は信用していた大地さんの言葉が、受け入れられないようだった。
「見ての通りだよ。土下座しなかったら、俺の手下たちが動く。お前の女ももらう。元お前の手下なんて、数ヶ月すればトップの俺のもんよ!俺を今までさんざんパシっておいて、何も言わずに出て行くなんて許せねぇ!土下座くらいしてもらわないと、気がすまねぇよ!」
「…大地、お前に裏切られたのはショックだよ。だけど、月ちゃんは俺の女だ。土下座すればいいんだろ」
土下座なんて、ダメだよ…ッ!
そうしたら全部大地さんの思いのツボになっちゃう。
流星が、正座をして、頭を下げようとしたとき__