「蜜生くん!私、これからも蜜生くんの専属お世話係件、ボディーガードとして頑張るからね!」
蜜生くんに抱えられた状況で格好はつかないけれど、素直な気持ちを伝えたくてそんな宣言をする。
「まったく詩桜は……。いつも俺の予想の遥か上行くんだから参るよ。でも、こっちこそもう離すつもりないから。覚悟したほうがいいよ」
呆れたように苦笑いを浮かべた次の瞬間、蜜生くんが私の額にチュッと優しいキスを落とした。
まるで、誓いでもするようなそのキスに、ボンッと今度は私が真っ赤になる番。
その上、
「あと、これからは"彼女"っていう役割も追加してくれると嬉しいけど」
なんて、言い出すものだからもう私はノックアウト寸前で……。
それは反則すぎだよっ。
自分の腕で顔を隠し、蜜生くんに茹でダコのような表情を見られないように必死になっていた――。
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小学生の時、加藤くんにフラれたあの日から、普通の女の子とは違う自分が嫌になって。
このままじゃ「恋」もできないと、頑張っていた武術の道から遠ざかり、必死に普通の女の子になろうと努力してきた。
でも、蜜生くんと出会って、彼のボディーガードとして過ごしていく中で、私の気持ちは少しずつ変化していく。
無理して皆と同じにならなくても、普通じゃなくてもいいんだとそう思えるようになったんだ。
だからこそ、最後に私の自己紹介を訂正をしておきたいと思う。
私の名前は、遠城寺 詩桜。
中学3年生、14歳の女の子。
好きなものは、甘いお菓子に、可愛い雑貨。
好きな色は、パステルピンク。
もちろん今、流行りのドラマにアイドル、動画のチェックも欠かさない。
最近はメイクにも興味が出てきて、日々勉強中。
そんな私の特技は、空手に柔道、合気道、剣道など含めた武術全般!
現在は、蜜生くんの専属お世話係件、ボディーガード。
そして、"彼女"としても日々活動中です――。
END



