「み、つきくん……」
「っ、詩桜大丈夫か!?」
目が合うと、こちらに駆け寄ってくる蜜生くん。そんな彼の顔を見て、私は思わず泣きそうになってしまった。
「感動の再会だね~。それにしても僕達がここにいるってわかるの早かったね」
パチパチと笑顔で拍手をするハルを無言で見つめる蜜生くん。あまりにも対照的な2人の様子に、内心ハラハラしてしまう。
「詩桜のスマホには、修学旅行の時に俺が即席で作ったアプリをいれたまままだったからな。それを探せばすぐにわかった」
そういえば、入れっぱなしだったかも……。
まさか、こんなタイミングで役に立つとは思わなかったが、消さないでいた過去の自分をほめたい気分だ。
「なるほどね~。仲川教授の時に使っていたやつかぁ」
「……そんなことより、こっちこそ、こんな身近にお前がいるなんて思ってもみなかったよ。学園内に内通者がいるだろうって目星はつけてたけど、まさか花園美春として同じクラスに紛れ込んでるなんてな」
「ふふ、かくれんぼみたいで楽しかったでしょ?」
似た髪色の2人が対峙している光景を見ると、なんだか不思議な気分になる。
それに、蜜生くんとハルってどことなく顔だちも似ているような……?
そんな疑問が浮かんだ瞬間。
「勘のいい君のことだから僕の口から説明する必要もないかもしれないけど、この状況を踏まえてもう一度聞くね?シュガー、僕の仲間になってよ。天才ハッカーと呼ばれた君の力が必要なんだ」
ハルの口から出てきた「ハッカー」という単語に私は目の前に立つ蜜生くんを見つめる。
ハッカーって、よく映画とかでパソコンを使ってセキュリティを操作したりする人のことだよね?
詳しくは知らないけれど、とにかくパソコンの知識や技術に優れた人だということは私でもわかった。



